この半年間でリリースされたRawstyleの中から主要そうなものや印象深い曲を出来事と共に振り返る。
今年が半分終わったので一旦2020年のRawstyleを振り返ってみる。自分の気に入った曲だけを挙げていくと猛烈に偏りそうなので、なるべく広く浅く選ぶ。
Ran-D – We Rule The Night (Roughstate)
Ran-Dが1stアルバムをリリース。制作に時間がかかってしまったようで、予約していたファンに無料で配布するという事もあったらしい。ZombieやHurricaneなど近年のヒット曲や、過去曲のリミックス、G4Hの新曲など色々楽しめる内容。個人的には「The Power Of Now」が良かった。
Sub Zero Project – Rave Into Space (DirtyWorkz)
Rebelion, Ava Silver – Dusk Till Dawn (Q-Dance)
トップアーティストらによるRawstyleは、去年同様(ハッピー寄りな)エモーショナルさを強めたユーフォリックなものが多い傾向にあると思う。Adaro、 Rebelion、Sub Zero Projectあたりは顕著かもしれない。もはやRawstyleと認識していない人もいるかも?また、これまで以上にHardstyle勢とのコラボレーション(やリミックス)が当たり前になってきた。
E-Force – Move On (End Of Line)
A2を経てScantraxx Blackに所属していたE-ForceがEnd Of Lineへと移籍。KillshotやBloodlustといった若手も含め、EOLも全体的にメロディックな路線の曲が増えてきた印象がある。
Udex – Corrupted (Heart For Hard)
2作目となるUdexのアルバム。彼の個性でもある悲壮感溢れるシリアスな曲調のRawstyleに徹した内容になっている。2020年のRawstyleシーンにおいて貴重なアーティストの一人。
Sickmode – Hey X (Aggressive Records)
昨年Maliceから離脱したSickmodeの1stアルバム。UK Hardcoreのような力強い女性ボーカルや、ハッピーなメロディを前面に押し出したXtra Raw。新しいスタイルとしてじわじわ定着していきそうな感じはする。
Malice – Stronger (Aggressive Records)
一方でMalice(残ったほう)はSickmodeとは対照的な曲をリリース。善と悪に分かれた魔人ブウのよう。なんだか意味深風な歌詞にも注目しておきたい。
V.A. – Gearbox presents Lockdown (Gearbox Digital)
昨年末から始まる新型コロナウイルスの影響を受け、Gearboxは3月にコンピレーションアルバムをリリース。FrawやAnderexといった最近頭角を表し始めたアーティストや、まだ無名のトラックメイカーも参加しており、これからのXtra Rawを知る上では聞いておくべきアルバムでもある。5月には2作目も公開された。
APEX – Comgining Forces (APEX Records)
この半年間でも色々と新しいRawstyleレーベルが生まれていた。まずはAPEX Records。Cryex、Ressurectz、Vasto、Scarra、Qriminal、MC Synergyといった主にUpcoming Recordsで活動していた若手アーティストらによって設立されたレーベルで、既にリリース数も多く勢いがある。
Nightcraft – Rage (Scantraxx Carbon)
Scantraxxは新たにScantraxx Carbonを立ち上げた。既にあるScanraxx Blackの二軍レーベル的な立ち位置で、Silverなどでリリースしていたアーティストがこっちに移っている感じ。ちなみに最近あんまり見かけないX-Rawも一応Scantraxx傘下らしいので、Black>Carbon>X-Raw…というヒエラルキーになった。細かい。
The Machine – Heavy (My Way)
去年からRoughstateのサブレーベル「Rough Recruits」にて精力的にリリースを重ねているThe Machine(しかも良い曲が多い)。この曲は「My Way」なる謎めいた新レーベルから公開されたもの。この曲以外にはD-Sturb, Sogma, E-lifeらによる「Hold On」がリリースされている他、End of LineのルーキーEPに参加していたDawnfireによる新曲が控えているそうで、今のところRawstyleレーベルといっても良さそう。
Ncrypta – Freefall (Identify Records)
Ncryptaは「Identify Records」を設立した。枠に囚われない曲作りをしていくとのこと。Gearboxの人気アーティストがどんどん独立していく…。
Unshifted – Upgrade (Filthy Face Records)
かなりマイナーだけどFilthy Faceなるレーベルもスタートしていた。なんとRawstyleとDrum & Bassに主軸を置いたレーベルで、またDonkベースを取り入れたRawstyleを公開していたりとなかなか尖っている。
D-Verze – The Internal (Spoontech)
Spoontechでは、D-Verzeが初のソロアルバム「The Internal」をリリース。D-Verzeらしくアトモスフェリックな内容、加えてVyralやInfiriumとの合作も個性が出ていて面白い。
Ace – Don’t Trust (Spoontech)
同レーベルだと今年2月にデビューしたAceが活躍中。デビュー以前からSpooncastでThe Purgeに曲を使われてたり、コラボしたりと、The Purgeの弟分っぽさがある。
The Purge – Remix EP (Spoontech)
The Purgeの過去曲のリミックスEPでは、ElementやKrueltyといったTC Labsで活躍していた若手アーティストたちが参加。元々TC Labsの人たちってSpoontechっぽい音が多いなと思っていたけど、最近いよいよSpoontechに進出しつつある。一方でTC Labsは(たまたまかもしれないけど)従来よりもユーフォリックなスタイルに傾いてきている。
Chris One, Clockartz – Back Once Again (Deathmatch)
Chris Oneらによるオールドスクール風なRawstyle。上半期はMinus MilitiaのOldschool FooliganやThyronのRave Generationなど、こういったテラーシンセや声ネタを取り入れたスタイルの曲を少し見かけた。またハードコアの方でもそういったリリースがあったので、海外でちょっとしたトレンドになっているのかもしれない。
きりがないのでこの辺で。振り返ってみて感じたことをまとめると、
・メインストリーム方面はトップアーティストを中心にエモーショナルでHardstyle寄りな音に近づいているものの、若手ではひと昔前のようなダークで渋いメロディーのRawstyleを出す人もちらほらいる。
・Xtra Raw方面は一曲の尺が更に短くなり、キャッチーなメロディやボーカルを取り入れているものも増えた。
・Spoontech勢やその他アクが強いアーティストは相変わらず。そういった人らの影響を受けてそうな新人勢が活躍しだした。
あとレーベルがやたら増えた。といったところでしょうか。残り半年も楽しく健やかにRawstyleを聞いていきましょう。
最後に個人的にヤバかったなって曲を適当に並べておきます。
Hatom – Killing Time (Spoontech)
正統派ではないけどベストトラックまである。
Restless – Break Ya Necks (Upcoming)
かなり独特な展開のRawstyleで面白かった。スピード感もあって楽しい。
Hardfunction – I’m a Fighter (Massive Dynamic)
Hardfunctionの曲もどんどん洗練されていってる気がする。相変わらず変なキックは鳴ってるけど。
ではまた